人事制度マニュアルとは、自社の人事制度の内容を解説した手引き書のことを指します。人事制度の適用対象となるのはすでに在籍している社員だけに限られません。今後入社してくる人も含まれます。従って、人事制度の導入時に使用した社員説明会用の資料だけでは十分な理解を得られないこともあります。社員説明会用の資料は現行制度と新制度の対比に重点が置かれ、変更点がない部分については説明が省略される場合も多いからです。
人事制度はその考え方や内容を社員がよく理解できてはじめて所期の目的を達成することができます。そこで今回はそのための土台となる人事制度マニュアルについて解説してみたいと思います。
標準的な項目立てを示すと次のとおりです。
![]() |
この人事制度は何を実現しようとしているのか?「目指す方向性」を宣言します。 |
![]() |
自社における人事制度を図表化するなどして全体の概略を示します。 一つひとつの事項については3.以下の項目の中で詳述するようにすると、社員にとってわかりやすくなります。 |
![]() |
資格制度や等級制度と呼ばれることが多い部分です。 1.の「この人事制度のねらいと考え方」と一貫性がとれていることが重要となります。 |
![]() |
賞与や昇給に反映させるだけでなく、人材を育成し、「目指す方向性」を実現することが最大の目的であることを強調します。そうでなければ労力をかけて人事制度を運用する意味がありません。 |
![]() |
人事制度マニュアルには種類や使い方などの説明のみ記載し、現物は別添資料としたほうが構成がわかりやすくなります。 |
![]() |
考課の対象期間や実施時期などについて説明します。 |
![]() |
誰の考課を誰が行うのか?考課決定までのルールなどについて説明します。 |
![]() |
この部分についてはどの程度まで公開するかは会社方針に基づいて最終的に決定します。 社員に対して「約束できること」までを公開することを基本に考えます。 |
![]() |
基本的な考え方、ポストの空き状況などの制限を受けることもあることなどについて説明します。 |
![]() |
この部分は考課者(管理者)用の人事制度マニュアルにのみ添付することも考えられます。 |
![]() |
考課者としての基本的な注意点について説明します。 |
![]() |
フィードバックの目的、具体的な実施方法、注意点などについて説明します。 |
![]() |
よくある考課の誤り(エラー)について解説することで、エラーの未然防止に役立てます。 |
人事制度はその考え方や内容を社員がよく理解できてはじめて所期の目的、会社の「目指す方向性」を実現することができます。一方で、考課の基準や考課表の様式を公開することを躊躇する会社がみられることも事実です。しかし、それで多大な労力をかけて人事制度を運用する意味があるでしょうか?人事制度の内容を社員に公開していない会社におかれては一度是非検討してみてください。