本年4月1日から次の点を主な内容とする2つの改正法が施行されました。
この2つの改正法の施行によって、従来以上に
が高まったと考えられます。
※なお、ここで言う「雇用管理区分」とは、正社員、パート・アルバイト、契約社員といった「雇用形態」とほぼ同じ意味と考えていただいてかまいません。
そこで今回は、上記2つの必要性がなぜ高まり、またどのような対応を行う必要があるのかについて考えてみたいと思います。
改正高年齢者雇用安定法は、高年齢者の雇用確保措置として、上述した継続雇用制度の導入のほかにも、定年年齢の引き上げや、定年制の廃止も定めています。しかし、多くの会社が60才定年制は維持したまま、嘱託社員等として継続雇用する、という選択肢を選んでいるものと考えられます。また、改正労働契約法のいう有期労働契約の呼称、具体的内容としても、パート・アルバイト、契約社員等会社によって様々な雇用管理区分が存在します。そこで以下では、多くの会社が該当すると考えられる
ケースをモデルとして解説を行うこととします。
上記のモデルを前提とし、改正労働契約法、高年齢者雇用安定法の内容をふまえたとき、雇用管理区分は基本的に次の4つに整理されることとなります。
パート・アルバイトも5年を超えて契約を反復更新した場合には(本人の希望を前提として)無期パート・アルバイトとなります。無期パート・アルバイトには正社員と同じように60才定年制を適用しなければ何才になっても原則雇い続けなければならなくなりますので、現実には60才定年制を適用する(就業規則にその旨明記する)必要が出てきます。そして60才定年制を適用する限り、無期パート・アルバイトにも改正高年齢者雇用安定法が適用されますので、原則として65才まで嘱託社員として継続雇用する必要が出てくることとなります。
つまり、上記の表は次のとおり編集することができます。
有期パート・アルバイトの中に60才以上の者(仮にAさんとします)を入れてしまった場合を考えてみましょう。もし5年を超えて契約を反復更新し、Aさんが希望すれば、Aさんは無期パート・アルバイトの中に入ることとなりそうですが、前述のとおり無期パート・アルバイトには現実には60才定年制を適用する必要がありますので、60才以上のAさんを入れることはできません。結果としてAさんはどの雇用管理区分にも属さず、定年のない労働者として会社の中に存在することとなるのです。
改正労働契約法、高年齢者雇用安定法の施行によって、
という図式が成り立つこととなります。
上記Aさんのような場合について、無期パート・アルバイト転換後の定年年齢を例えば70才というように別に定めて管理することも考えられます。しかし、雇用管理の区分を設定する最大のメリットは、
ところにあります。同じ雇用管理の区分の中に取り扱いが異なる者を混在させることはできる限り避けた方が賢明です。もし「どうしても60才以上の者を有期パート・アルバイトとして採用したい」というような場合には、別途の雇用管理区分(シニアスタッフ等)を作って、通算契約期間は最長5年まで、というようにすべきでしょう。人事労務の担当者も異動しますので、5年・10年というスパンで考えたときにはその方が混乱を避けることができる、と言えます。
上述のとおり、今後は多くの会社で無期パート・アルバイト、嘱託社員といった雇用管理区分が必然的に存在するようになります。従来はパート・アルバイト、嘱託社員については、臨時的・補助的労働力であることや、定年後の生きがいとして働くといった観点から、労働条件についてあまり細かくは定めず、必要最小限度の事項を就業規則・雇用契約書で定めて、後は個別の話し合いで対処してきた、という会社が多かったものと考えられます。しかし、上述した2つの改正法の施行を機に、こういった従来の手法ではトラブルが多発する事態が予想されます。
従来多くの会社では「(パート・アルバイト、嘱託社員などの)就業規則に定めのない事項については正社員就業規則を準用する」といった規定を置いていたことと思います。これまでは個別の話し合いの中でどこまで正社員の労働条件を準用するのかについてトラブルなく対処できてきたケースが多かったものと考えられますが、前提が大きく変わった今、雇用管理区分ごとの労働条件の内容をより明確に定める必要性、すなわち正社員の就業規則のあいまいな準用はやめ、個別の就業規則の中で明記する必要性が高まっていると言えます。
本年4月1日から施行された改正労働契約法、高年齢者雇用安定法によって、従来以上に
が高まったと考えられます。
みなさんの会社の就業規則は
一度是非点検してみてください。