人事処遇の基準とは社員の処遇の高さを決める判断軸のことを指し、「資格制度」「等級制度」と呼ばれることが多いものです。
この資格制度、等級制度に基づいて、役職への登用や基本給の決定が行われますので、人事制度の起点となるしくみであるといえます。
そこで今回はこの人事処遇の基準=資格制度、等級制度について取り上げてみたいと思います。
資格制度、等級制度のあり方を考えるうえで基本となるのは自社の組織図です。
組織図とは自社の業務執行体制を示したものですので、これを見れば
・どのような業務部門があって
・どのような役職、職務があるのか
を把握することができます。
外部のコンサルタントが関わる場合にはさらに
・それぞれの部門の業務内容や
・それぞれの役職、職務の仕事内容
を詳しく把握する必要があります。
これによって、資格制度、等級制度のあり方を考えるうえでの
・タテの軸=部門、職種
と
・ヨコの軸=社員の階層
の “大枠” をつかむことができます。
○○部門、職種
階層3
階層2
階層1
△△部門、職種
階層3
階層2
階層1
□□部門、職種
階層3
階層2
階層1
…
上記の「階層」が資格制度の「資格」、等級制度の「等級」の大枠となります。
基本給の水準はこの資格や等級に基づいて決まります。
基本給は仕事の対価ですので、自社では仕事の対価を何で決めるのか?を明確にする必要があります。
それによって資格や等級をいくつ設定すべきなのかの “原則” が決まってきます。
中堅・中小企業では、役職の高さ=責任、役割の重さに基づいて仕事の対価を決定している場合が多いといえます。
しかし、研究開発型の企業のように役職が多くない、いわゆるフラットな組織では、社員個々人の技量(研究開発の実績)をもって仕事の対価を決定しているところもあります。
また、仕事の習熟にそれほど長い時間を要しない業種や職種の場合には、仕事の安定度をもって仕事の対価を決定しているところもあります。
資格や等級が上がることを昇格と呼びます。
資格や等級の数が多くなればなるほど昇格の機会が増えます。
社員に対する動機づけの機会を増やすことができます。
一方で、資格や等級ごとに基本給の水準が決められているということは、資格や等級の数が多くなればなるほど
・基本給の水準が最終的に高くなりすぎるか
・上記を避けようとすれば資格や等級ごとの基本給の運用範囲が狭くなってしまうか
のどちらかとなります
※この点については2024年8月号もご参考にしてください。
これらの点も考慮に入れたうえで資格や等級の数を “最終決定” していきます。