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第53回  2014年10月号

〜あたりまえ水準を高くする〜

あたりまえのことを奪われると人は一生懸命になる

健康な人が病気になったり、平穏な日々を過ごしている人がトラブルを抱えると、「なんとしても病気を治そう」「トラブルを解決しよう」と一生懸命努力します。そして、病気を治してくれた人(医師)やトラブルを解決してくれた人にはとても感謝します。

ところが、子供の頃を思い出してみてください。一生懸命勉強すれば学力が向上するとわかっていても「なかなか勉強しなかった」という人が多いのではないでしょうか?人はあたりまえのことが奪われるとそれを取り戻そうとして一生懸命になりますが、「今よりよくなる」と言われてもなかなか努力しません。「社員の潜在能力をいかに引き出すか」ということを考えるにあたっては、この人間の心理というものを考える必要があると考えます。

今あたりまえになっている水準を守ろうとするだけでは衰退する

個人も会社も仕事をするうえで、「今あたりまえになっている水準」というものが存在します。しかし、この「今あたりまえになっている水準」というものを守ろうとするだけでは個人も会社も必ず衰退します。なぜなら「今あたりまえになっている水準」を高めようと懸命に努力を続けている人、会社が存在するからです。「今あたりまえの水準」が相対的に高いものであったとしても、それで通用するのは「2年」程度ではないでしょうか。また、一生懸命努力しようと決意しても、その意欲を"継続"できるのは多くの場合「2年」程度までと考えられます。逆に言えば、「2年」は誰でも頑張れるのです。「2年」を超えて努力を"継続"できるかどうかが個人も会社も成長を続けられるかどうかの分岐点になるものと考えます。

2年ごとにあたりまえ水準を高めていくことが理想

従って、「社員の潜在能力をいかに引き出すか」という観点からは、社員一人ひとりのあたりまえ水準を2年ごとに高めていくことが理想であると考えます。この「あたりまえ水準」とは売上や利益といった目標値だけではありません。正しいプロセスが良い結果を生むわけですから、

この“正しいプロセス”の中身を2年ごとに高めていくことが必要です。
具体的には、2年間でどれだけ「できなかったことができるようになったのか」を箇条書きにしてみてください。具体的な成果といえるものがない人は成長していない人です。

上司としては具体的に課題を与えていく、といった対処が必要となります。

2年ごとに何が新しくできるようになったのか、次の2年は何に取り組むのか、このサイクルを継続できる人材をいかに育成するか、ということが企業における人材育成の基本であると考えます。
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