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第126回 2020年11月号

〜資格制度・等級制度構築のポイント〜

はじめに

資格制度・等級制度とは社員の処遇の高さを決める判断軸のことを指します。前月号で取り上げた人事処遇の基準の呼称として広く定着しているということができます。

人事制度の企画はこの資格制度・等級制度の構築から着手するのが通常です。

そこで今回はこの資格制度・等級制度構築のポイントについて考えてみたいと思います。

とにかく“不明瞭化”を避けること

社員の処遇の高さを決める判断軸として何を用いるのかについては様々な考え方があります。仕事への習熟度合い、職務や役割の重要度、経営方針・基本戦略を実践する力などです。

このとき何を判断軸として用いるのかにかかわらず、必ず行わなければならないことがあります。

それは「実態に基づくレベル分けを行う」ということです。

仕事への習熟度合いにせよ、職務や役割の重要度にせよ、

現実の業務の実態に基づいて考えるとこれくらいのレベル分けが適切である、という基準が必ず存在します。この実態から離れて過剰なレベル分けを行うと、社員から見たときにそれぞれのレベルに求められていることの違いがよくわからないという事態を必ず招くこととなります。

「レベル2のほうがレベル1よりも役割の重要度が高いというけれども違いがよくわからない」という事態です。

資格制度・等級制度の構築にあたってこの“不明瞭化”は絶対に避けなければなりません。この部分が不明瞭であれば人事制度が目指すことが社員に伝わらず、何の変化も期待することができなくなってしまうからです。

資格制度・等級制度は人事考課(評価)制度と一体化していく

上述した“不明瞭化”を招く原因の一つに人事制度の企画のプロセスがあるものと考えます。

次のとおりです。

1最初に資格制度・等級制度の枠組み、レベル分けを決めてしまう。
このとき、現状の組織や給与水準との整合性を優先させてしまい、現実の業務の実態に基づいたレベル分けを考えることはしない。

22で決定した資格制度・等級制度の枠組み、レベル分けを既定、不変のものとして、それぞれのレベルに求められる期待水準を定義していく。

3“不明瞭化”を招く。

これを避けるためには、資格制度・等級制度の枠組み、レベル分けと人事考課(評価)基準の具体的内容を一体で考えていくことが必要であると考えます。

先ほどの例を用いると次のとおりです。

1レベル2のほうがレベル1よりも役割の重要度が高いというけれども、評価基準の具体的内容を起草してみると明確な違いがない。

2資格制度・等級制度の枠組み、レベル分けから再度見直すことができる。

人事考課(評価)基準の具体的内容を起草してみれば、最初に考えた資格制度・等級制度の枠組み、レベル分けが現実の業務の実態に合ったものかどうか明瞭になります。

人事制度が目指すことを社員に明確に伝え、変化を起こすためには、社員一人ひとりが自分自身に期待されていることをよく理解できるようにする工夫が必要です。

資格制度・等級制度は人事考課(評価)制度と一体化していくことが必然であるといえるでしょう。

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