まもなく4月を迎えますが、4月は新しい人事制度の導入が集中する時期でもあります。新しい人事制度をスムーズに導入し、定着させるために 「人事企画、労務相談等顧問業務」 について質問を受ける機会もこの時期には増えてきます。そこで今回は当研究所が行っている顧問活動の実態について紹介してみたいと思います。
30年位前までと現在とでは労務管理を取り巻く環境は大きく変わっています。正社員以外の雇用形態の多様化、働く人の知識、権利意識の高まり、立法による労働者保護の進展等々です。また、従来とは比較にならないくらい行政当局による相談体制も整備されています。
このような中で自己都合退職の時期や年休消化をめぐるトラブル、懲戒処分事案、人事異動をめぐるトラブルなど様々な労務相談が当研究所にも寄せられています。また、近年急増しているのがセクハラ、パワハラなどのハラスメント事案です。
これらの労務相談事案については事実関係の調査、確認に時間を要するものもあります。また、それぞれの会社の就業規則の内容によって対応方法が異なる場合もあります。一回限りのスポット相談では「このように対処してください」というところまでは回答できない場合のほうが多いというのが実態です。
この点顧問先であれば就業規則の内容や会社の業務内容は熟知しています。相談事案の当事者の名前と顔が一致する場合も少なくありません。判断に必要な事実関係の整理、会社の就業規則を当てはめた場合の選択肢、結論まで迅速に進めていくことができます。労務のトラブルは初動の対応が極めて重要です。就業規則をきちんと整えておくなどの予防措置に加え、初動の対応をしっかりと行っておけば、重大な事案に発展するようなことはほとんどありません。
新しい人事制度を導入し、運用していく過程では、人事部門の担当者だけでなく、現場で働く社員からも様々な質問が
寄せられてきます。これらの質問に対しては、
対応方法を回答することが必要です。
また、会社を取り巻く状況や社内の課題は常に変化していきます。人事制度を構築した時点では前提としていなかったような状況もどんどん生まれてきます。労働契約を5年を超えて更新した場合の無期労働契約への転換権付与、同一労働同一賃金などの新たな立法措置もこの中に含まれます。これらの課題に応えるために人事制度をどのように進化させていくべきなのか?について具体的な選択肢を提示することも重要な顧問活動の一つとなります。