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第99回  2018年8月号

〜基本給設計の目標水準について考える〜

標準的な考え方とその意義

社員に支払う賃金のうち、手当を除く本俸部分の呼称には様々なものがあります。今回はこれを「基本給」という代表的な呼称を用いて解説することとします。

「どのような位置づけの社員に対して、いくら基本給を支払うのか?」を合理的に決定するためには、あらかじめ社員の位置づけに応じた基本給額を定めておく必要があります。「基本給の設計」と呼ばれるものですが、標準的な考え方としては次のものを挙げることができます。

四角形

この考え方の主な意義は次の2点です。

1新卒初任基本給〜管理監督者登用直前までの基本給水準を「モデル賃金」相場などに合わせることができる

→世間水準に合わせた基本給(賃金)水準の決定。

2初任管理監督者の基本給(賃金)水準を合理的に決めることができる

→初任管理監督者の基本給(賃金)水準=管理監督者登用直前の基本給(賃金)+時間外・休日勤務手当が支給されなくなることに対する補償+管理監督者としての責任加算

…詳細は2012年4月号を是非ご覧ください。

標準的な考え方の弱点を補う

上述した標準的な考え方において基本給設計の目標水準として重視するのは次の2つのポイントです。

・新卒初任基本給 ・管理監督者登用直前の基本給

この間は「モデル」と呼ばれる事実上の最速クラスでの昇格・昇進者を前提として基本給の設計を行う

従って、この標準的な考え方には次の2つの弱点が内在していることをよく理解しておくことが必要です。

弱点 1

モデル」以外の多数者の基本給(賃金)水準が現実の世間相場と比較して低い水準にとどまってしまう可能性がある。

弱点 2

「社員全員が世帯主、扶養家族あり」であることを前提とした考え方であり、今後ますます多様化していく働き方に対応できるものではない。

上記の弱点を補うためには

基本給設計の目標水準を目的に合わせて多様化すること

が必要であると考えます。
例えば、

モデル」以外の多数者の基本給(賃金)水準の是正が目的であれば、「どの位置づけ(資格、等級など)の社員の基本給(賃金)水準を」「どの程度引き上げるのか」について明確な目標水準を持つ、ということです。

また、

仕事内容や責任などが限定された「限定正社員」と呼ばれる社員の基本給(賃金)水準を設計する場合には、通常の正社員と比較して妥当と考えられる目標水準を設定する、といった対処が必要でしょう。

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