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第71回  2016年4月号

〜自己評価・自己申告制度を形骸化させない〜

自己評価・自己申告制度が目指したもの

4月を迎え、評価の季節真っ最中という会社も多いことと思います。上司・会社による評価の前に社員本人による自己評価・自己申告制度を取り入れている会社もあることでしょう。果たしてその実態ですが、年中行事の一つとして「ただやらせているだけ」といったことにはなっていないでしょうか?自己評価・自己申告制度が本来目指したものとは「自分自身の課題や目的意識を自分で発見して、自分で自分自身を育てること=“自育”」にあったはずです。「自分を良く見せたいために高い評価ばかりつけてくる」「申告内容が毎年同じ」「何を自分自身の課題や目標として認識しているのか、よくわからない」といったものが目立つようであれば、自己評価・自己申告制度は形骸化してしまっているということができます。

自分を良く見せたい < 目的意識を明確にしたい となる制度・運用を目指す

誰もが自分のことは良く見せたいと思います。しかし、自分自身を本当に成長させるのはもっと良くなりたいという向上心です。向上心は「こうなりたい」という目的意識がなければ生まれません。従って、自己評価・自己申告制度の運用で最も大切なことは「自分自身の課題や目的意識をはっきり持たせること」です。これは評価云々よりもはるかに大事なことです。「自分を良く見せたいために高い評価ばかりつけてくる」といったケースが蔓延しているような場合には、全社的に自己評価・自己申告をやり直させる決断が必要です。また、過去何年間もそのような状態が続いているようであれば、制度全体を刷新することも必要となります。

では、自分を良く見せたい < 目的意識を明確にしたい となる制度・運用に変えていくために必要なこととは何でしょうか?次のとおり考えます。

評価結果の処遇への反映=インセンティブ 目的意識の明確化=社員の“自育”促進 の関係

・インセンティブにウエイトを置く→社員の“自育”促進効果が低下する可能性大 ・社員の“自育”促進にウエイトを置く→社員のチャレンジ意欲が低下する可能性大

インセンティブと社員の“自育”促進のバランスをよく考えることが大切

具体的には…

・短期的な成果で月給や資格といった基本的な処遇を大きく上下させるようなしくみは避けた方が賢明 ・月給や資格については3年間程度の職務実績を見てから大きく上下させる決断を行うことが適切
資格

ということになります。

まとめ

自己評価・自己申告制度が本来目指したものとは「自分自身の課題や目的意識を自分で発見して、自分で自分自身を育てること=“自育”」にあります。

誰もが自分のことは良く見せたいと思います。自分を良く見せたい < 目的意識を明確にしたい となる制度・運用とする必要があります。そのためには、短期的な成果で月給や資格といった基本的な処遇を大きく上下させるようなしくみは避けた方が賢明です。

これら基本的な処遇については3年間程度の職務実績を見てから大きく上下させる決断を行うことが適切であると考えます。
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