人事評価のあり方は会社によって様々ですが、どのような評価制度であっても評価決定までのプロセスには共通する部分があります。
次のとおりです。
ステップ1評価事実の選択
業績や行動など、人事評価の対象とすべき事実を正しく見極め、評価対象とはならない事実を除外するプロセスです。
人事評価は仕事の評価です。仕事とは関係のない評価者の個人的感情などはこの時点で除外されなければなりません。
ステップ2評価項目の選択
人事評価は多くの場合複数の評価項目の評価を積み重ねることによって決定されます。
評価項目の選択とはステップ1の評価事実をどの評価項目に当てはめて評価するのかを決めるプロセスです。
評価者は評価項目を一つひとつ評価していきますが、それぞれの評価項目が問うていることには正しい「範囲」があります。評価者はその「範囲」を正しく理解したうえで、ステップ1の評価事実に基づいて評価を決定していかなければなりません。
この「範囲」を誤って評価することが評価項目の選択を誤るということです。評価の結果を本人(評価対象者)にフィードバックする場面を想定してみてください。評価項目の選択を誤っていれば完全に的外れなフィードバックとなってしまいます。
ステップ3評価段階の選択
人事評価は複数の評価項目をそれぞれ3〜5段階程度の評価段階で評価し、その結果を総合することによって最終決定されるのが通常です。
評価段階の選択とはこの3〜5段階程度の評価段階のうちどの段階とするのかを決定することです。
考課(評価)者研修では演習を通じてこの「3つの選択」を正しく習得することを目指します。
この「3つの選択」は正しい評価を行うために必要な技能ですが、自社の評価制度の問題点も浮き彫りにしてくれます。
例えば、ステップ2.評価項目の選択で述べたとおり、それぞれの評価項目が問うていることには本来正しい「範囲」があり、またその「範囲」は文言上明確でなければなりません。
自社の実務、社員の仕事に基づいて設定された評価項目であればその「範囲」の正しい理解は得られやすいでしょう。
しかし、「コミュニケーション能力」や「対人影響力」などといった自社の実務、社員の仕事に基づかない抽象的な概念定義だけでどれだけ理解の共通化が得られるでしょうか?
また、ステップ3.評価段階の選択についてもとても理解の共通化が得られないような多段階の評価段階の設定が行われていないでしょうか?
このように「3つの選択」は自社の評価制度の問題点も浮き彫りにしてくれるものであるということができます。