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第57回  2015年2月号

〜要件定義をねじ曲げない〜

はじめに

人事制度を構築するにあたっては「どのような制度とするのか」を最初に決める必要があります。人事制度の要件定義です。この要件定義を間違えると人事制度は意味を失ってしまいます。

そこで今回は、この人事制度の要件定義の仕方について考えてみたいと思います。

先に○○型ありきではない

人事制度の要件定義は2つの要素から成り立っています。1つは「目的の明確化」、もう1つは「基本的価値の反映」です。「目的の明確化」とは、その時点における自社の人事上の課題を的確にとらえることを指します。“仕事と給与をバランスさせたい”とか“プレイング・マネージャーの評価の仕方を一工夫したい”といったことが該当します。「基本的価値の反映」とは、自社の経営理念を具体化して、どのような考え方や行動をとることが正しいのかを社員にわかりやすく示すことを指します(※詳しくは2014年11月号をご覧ください)。

この要件定義を行う前に、「○○型の人事制度にする」といった決定を行うことは絶対に避けなければなりません。

要件定義を行う前に、年俸制を導入する、職務・役割主義の人事制度にする、目標管理制度を導入する…といった決定をすることは絶対に避ける必要がある、ということです。先に「○○型」ということを決めてしまうと、その枠内でしか要件定義することができなくなります。年俸制、職務・役割に応じた賃金、目標管理による評価制度…等が馴染まない職種や階層があっても、無理矢理こじつけるような思考や作業をしてしまうことにつながります。さらに出来上がった人事制度も自社の人事上の課題解決や経営理念の実践につながらない、意味のないものとなってしまいます。

自社の人事上の課題は経営者および人事部門の責任者であればすでにわかっているはずです。

「現状をどう変えたいか?」を自問自答すればすぐ答えは出てきます。また、基本的価値の反映についても「経営理念の実践をどのように社員に求めていくのか?」を突き詰めていけば答えは出てきます。

この2つをきちんと定義してから人事制度の具体的内容を考えることが必要です。

まとめ

人事制度を構築するにあたっては「どのような制度とするのか」を最初に決める必要があります。人事制度の要件定義です。この要件定義を行う前に、「○○型の人事制度にする」といった決定を行うことは絶対に避けなければなりません。先に「○○型」ということを決めてしまうと、その枠内でしか要件定義することができなくなります。その枠組みに馴染まない職種や階層があっても、

無理矢理こじつけるような思考や作業 ⇒ 正しい要件定義のねじ曲げ
につながり、結果として人事制度は自社の真の人事上の課題解決や経営理念の実践につながらない意味のないものとなってしまいます。

自社の人事上の課題を的確にとらえ、経営理念の実践をどのように社員に求めていくのかを突き詰めることが人事制度の正しい要件定義にほかなりません。この要件定義を行ってから人事制度の具体的内容を考えることが必要です。

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