個人も会社も毎日同じことを繰り返していては成長しません。同じことの繰り返しでなく個人・会社を成長させるためには、Plan(高い目標を掲げ)→Do(実行し)→Check(その到達度を評価し)→Action(次はどうするかを考える)習慣づけが欠かせません。ところが、この習慣がなかなか根付かないケースも多くみられます。
そこで今回は、なぜPDCAの習慣が根付かないのか?また根付かせるための重要ポイントは何か?について考えてみたいと思います。
<はじめに>でも述べたとおり、「高い目標」を掲げて、その実現に向けてPDCAのサイクルを回転させる習慣を根付かせることは容易ではありません。しかし、PDCAのサイクルを回転させる経験は誰もが持っているということができます。例えば、朝今日一日の仕事の予定を計画し(P)→実行に移し(D)→急な仕事が割り込んできた場合に現時点での全体の進捗状況を判断して(C)→優先順位の高い仕事から対応するように予定を組み替える(A)といったことは誰もが自然と行っていることです。「高い目標」を掲げて、その実現に向けてPDCAのサイクルを回転させることも基本は全く同じです。個人の能力によって早く目標に辿り着く人、時間がかかる人、といった差はありますが、PDCAのサイクルが正しく回転していれば全く前進・進歩していないといったことは起こり得ません。
では、なぜこの習慣が根付かないのか、次に考えてみます。
PDCAのプロセスを重視している会社の多くが、社員を評価するしくみとして目標管理制度を採用しています。
ところが、その評価の結果が自分の処遇に直結するとなるとなかなか正しい評価をすることが難しくなります。ここに大きな矛盾が潜んでおり、PDCAのプロセスを重視して導入したはずの目標管理制度が、実はPDCAのサイクルを正しく回転させないように仕向けているということです。
では次に、上記の矛盾をどのように解決すべきなのかについて考えてみます。
高い目標や結果に辿り着くには何よりも執着心が必要です。そしてこの執着心を持たせるものは当事者意識です。当事者意識は高い目標や結果に辿り着いた経験=充実感によって生まれます。
目標管理制度による評価がどのようなものになろうと、自分自身で目標の到達度を正しく評価し(C)、次はどうするかを考え(A)、高い目標や結果に辿り着き、当事者意識、執着心を持ち続けることができればそれがベストです。
しかし、それを前提にすることは現実的ではありませんので、“他者の力を借りる”ということになります。他者の力を借りることで目標の到達度を正しく評価し、次はどうするかを考え、高い目標や結果の実現に結びつけ、当事者意識、執着心が持てるように仕向けるのです。
ここでいう“他者”とは上司のことであり、目標管理制度における評価のプロセスでは上司からのアドバイスの適否が何よりも重要となります。
また、このアドバイスは日常化する必要があります。高い目標や結果の実現は日々の積み重ねによるものです。
PDCAのサイクルの回転も同じで、毎日の正しい回転の積み重ねが高い目標や結果の実現につながるのです。PDCAの回転は半年や1年といったスパンで考えるのではなく、毎日、さらにはその都度その都度といったタイミングで考えるべきものです。
上司が部下を"育てる"とは、“高い目標や結果を実現するための方法を部下自身が考え出す力を身に付けさせる”ということであり、これはPDCAのサイクルが正しく回転するように毎日のアドバイスを繰り返すことによって実現できる、ということができます。
PDCAのプロセスを重視している会社の多くが、社員を評価するしくみとして目標管理制度を採用しています。
ところが、その評価の結果が自分の処遇に直結するとなるとなかなか正しい評価をすることが難しくなります。PDCAのプロセスを重視して導入したはずの目標管理制度が、実はPDCAのサイクルを正しく回転させないように仕向けているということです。この矛盾を解決するのは上司からの適切なアドバイスです。部下自身が目標の到達度を正しく評価し(C)、次はどうするかを考えられる(A)ように仕向けることこそ部下を"育てる"ということにほかなりません。またこのアドバイスは日常化することが大切です。
PDCAを定着させるために導入したはずの目標管理制度が逆にその阻害要因となっていないか、みなさんの会社でも一度点検してみてください。