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第100回  2018年9月号

〜組織の拡大に合わせた人事制度のメンテナンス例〜

はじめに

人事制度は一度整備したらそれで終わりではなく、会社の置かれている状況の変化に合わせて、メンテナンスしていく必要があります。
会社の直面している課題の解決につながらない人事制度や、現在の会社の組織、機能に整合していない人事制度は、労力をかけて運用する価値がありません。

そこで今回は、人事制度のメンテナンスの一例について取り上げてみたいと思います。

組織の拡大に合わせた人事制度のメンテナンス例

会社の組織が拡大していくと、それまで1つであった部門(機能)が2つに分かれたり、新しい部門(機能)が生まれたりします。 社員の職位(役割分担)についても同じで、それまでその役割があいまいだったある職位に対して、はっきりとした役割分担を求める必要が生じることがあります。
例えば、「主任」や「課長代理」といった職位については、社員の処遇や意欲づけを主な目的として任命してきた会社も多いことと思います。 このような場合、「主任」や「課長代理」としての役割はあいまいであり、またそれで特段の不都合は生じなかったものと思います。
ところが、会社の組織が拡大し、新しい部門(機能)が生まれてくると、社内プロジェクト1つを進めるにしても多くの部門が参加することとなります。 「部長」や「課長」といった部門長はこれら他部門との協力、調整などの仕事により多くの時間をあてる必要が出てきます。 それまで自分自身が担ってきた部下の仕事の細かなチェックや進捗状況の管理などの仕事については、「主任」や「課長代理」に委ねたい、という発想が出てくるのは自然なことでしょう。
このような場合には人事制度のメンテナンスが必要となります。

人事制度全体を再構築してしまうことも一つの方法ですが、多大な労力がかかります。特に下記の例のように同じ資格・等級の中から、「担当者(肩書きなし)」「主任」「課長代理」を柔軟に登用してきたような人事制度の場合には、今後もそのメリットは維持していきたいと考える場合も多いことと思います。

基本給は資格・等級ごとに下限・上限が決まっている。従って、担当者と主任、課長代理の給与の差は主に役職手当を活用している。

このような場合、人事制度全体の枠組みは維持したまま、“メンテナンス”で課題の解決を図ることとなります。
メンテナンスのポイントは次の2つとなります。

1「主任」 「課長代理」 に求める役割を人事考課の項目として明確化する。

→担当者としての仕事に加えて +・部下の指導・部下の仕事の進捗状況の管理・部門業務の効率化の推進・部長、課長不在時の判断の代行 など。

2同じ資格・等級に在籍している担当者(肩書きなし)に比べてより重い責任を担う「主任」 「課長代理」 が待遇面で不利にならないしくみを構築する。

→「主任」「課長代理」の最終評価の決定方法を工夫し、例えば下記の例のような“最終評価の加点修正”のルールを導入する。

まとめ

会社の直面している課題の解決につながらない人事制度や、現在の会社の組織、機能に整合していない人事制度は、労力をかけて運用する価値がありません。
人事制度全体を再構築しなければならない場合もありますが、“メンテナンス”で課題の解決が十分図れる場合もあります。 人事制度を経営方針実現、人材育成の土台として活用するためにも是非そのメンテナンスにも意を配るようにしてください。

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