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第98回  2018年7月号

〜人事考課の項目設定の視点〜

「処遇を決定するための考課」の視点

前月号でも取り上げましたが、従来は職能資格制度と呼ばれる人事制度を大部分の企業が採用していました。この職能資格制度の人事考課の項目設定の考え方は、

社員の実績、意欲、能力をできるだけ多面的に評価する

というものでした。

→例)・実績…仕事の量、仕事の質、仕事の効率 など ・意欲…規律の遵守、責任感、協調性、積極性 など ・能力…知識・技能、判断力、企画力、指導力 など

そのねらいは、

定年までの雇用を前提に、職能給と呼ばれる給与の伸びと昇格・昇進のスピードを時間をかけて管理していくこと(差をつけていくこと)

でした。

定年までの雇用を前提に、職能給と呼ばれる給与の伸びと昇格・昇進のスピードを時間をかけて管理していくこと(差をつけていくこと)

この職能資格制度の人事考課の項目設定の考え方においては、上記の例をご覧いただいてもおわかりのとおり、

自社の理念、基本戦略、経営方針に則った行動を社員に促す→行動規範

という視点はありませんでした。

現在でもこの「行動規範」よりも「処遇を決定するための考課」という考え方は根強くあり、その視点から人事考課の項目、内容を構築している会社も多く見られます。

正しい順序は何か?

上述した給与の伸びや昇格・昇進のスピードという処遇は、社員に対するインセンティブ(動機づけ)ということができます。ではなぜ会社は社員にインセンティブを与えるのか?それは自社の理念や基本戦略、経営方針に則った行動を社員に促すためにほかなりません。 このように考えると、

 人事考課の項目設定の視点として正しい順序は

「行動規範」→「処遇を決定するための考課」

 である

ということができます。この順序を逆にするということは通常はありえません。従って、この正しい順序を守らない考課項目の設定は「処遇を決定するための考課」ということになります。今一度自社の人事考課の項目を読み返してみてください。

自社の理念、基本戦略、経営方針に則った行動を社員に促すものとなっていますか?
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