考課者研修とは、会社の人事考課(評価)制度の内容をよく理解し、正しい考課を行う能力を身に付けることを目的として、考課者を対象に実施する研修のことをいいます。
人事考課はそれぞれの会社の上期終了後、下期終了後の年2回程度実施する会社が多いためか、考課者研修も上期末前後、下期末前後の年2回程度実施する会社が多いようです。3月決算の会社の場合、9月前後と3月前後の年2回実施、ということになります。
上述したとおり、会社(自社)の人事考課制度の内容を考課者によく理解してもらい、正しい考課を行う能力を身に付けてもらうことが考課者研修の第一の目的です。
従って、研修のプログラムは全て自社の人事考課制度に基づいて組み立てる必要があります。人事考課制度の説明資料はもちろんのこと、使用する演習問題、人事考課表も全て自社のものであることが必要です。演習問題とは、自社の社員にこういう人物がいて、考課対象期間中このような行動をとった、また実績はこのようであった、という事例を物語としてまとめたものです。研修受講者にはこの物語を読み、自社の人事考課表を使用して考課をつけてもらいます。こうすることではじめて自社の人事考課制度の内容の理解と正しい考課を行う能力を身に付けることができます。一般論では教養は身に付きますが、実践力の習得は期待できません。
「自社の人事考課制度の内容と正しい考課の仕方はよくわかった」。しかし、これで終わってしまっては人事考課の目的を十分に達成できているとは思いません。考課者各自がそれぞれの職場に戻ってから研修で学んだことをどう活かすかのほうが大切であると考えます。
そのためには
ことが必要です。
このことを可能とするためには人事考課の基準を全社員に公開することが前提となります。考課者研修ではこのことを考課者に対して強調する必要があります。「人事考課の基準は考課者以外は見てはいけない、見せてはいけない」という意識がまだまだ根強いためです。
また、人事考課の基準を公開し、教育(自育)のよりどころとして活用する、ということを前提とすることで、人事考課の基準の質、効果・効能の向上も期待することができるようになります。