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第79回  2016年12月号

〜改革を前にして〜

来年は人事制度改革の必要性が高まる可能性大

国が掲げる「働き方改革」の今後の予定は、来年3月末までに実行計画を策定し、その後速やかに関連法案を提出のうえ成立を図る、となっています。この「働き方改革」には「長時間労働の是正」「副業の解禁」「成長分野への労働移動の促進」なども含まれており、その内容は多岐にわたるものとなっています。しかしその中でも各企業の人事制度のあり方に大きな影響を与えると考えられるものは「同一労働同一賃金」といってよいでしょう。特に報道などによりますと、正規雇用:非正規雇用の賃金格差を100:80程度にまで縮小する目標なども伝えられています。これまでは「同じ仕事をしているのに正規と非正規とでこんなに大きな賃金格差はおかしい」という主張が主流でした。しかし来年以降は「仕事は違うが、その違いに見合った賃金格差といえるか?」といった主張も決して珍しいものではなくなってくるのではないでしょうか。

賃金をはじめとする待遇の格差について、会社側により強い説明責任が求められてくる

のではないかと予想されます。実は現行のパートタイム労働法14条には同趣旨の規定がすでに置かれており、その強化、パートタイム労働者以外への拡大が予想されるということです。

改革を前に整理しておくべきこと

現在では全員正社員、単一の処遇ルールという会社は少ないでしょう。複数の雇用形態、また同じ正社員であっても複数の処遇ルール(いわゆるコース別人事管理)を設定している会社が大部分であると考えられます。そのような会社においては、来年以降に予想される改革を前に

雇用形態、コースごとに賃金をはじめとする待遇の格差について・どのような格差があり・どのような根拠を持ってそのような格差設定を行っているのかを整理しておく

ことが必要であると考えられます。そうすることで来年以降法の規制強化等が現実化した場合にも素早い対処が可能となるからです。

整理しておくことが必要な待遇の内容としては・賃金総額の水準・基本給以外の各手当の支給の有無・昇給制度の違い・賞与の有無、計算方法の違い・退職金制度の有無・特別休暇(慶弔休暇など)や休職制度の有無 などが考えられます。
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