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第95回  2018年4月号

〜考課者研修〜

はじめに

4月を迎え、人事考課を行う考課者を対象とした研修を計画中の会社も多いことと思います。そこで今回はこの考課者研修について考えてみたいと思います。

考課者研修で習得すべき事項

考課者としての「基礎知識」と「その応用能力」の習得がまず必要です。

「基礎知識」とは…

自社の人事制度人事考課制度をよく理解してもらうことです。現場の管理者はどうしても自分が担当している業務優先となりますので、人事部門が考えているほど人事制度や人事考課制度の内容を理解してはいません。自社の人事制度や人事考課制度がどのような考え方に基づいて構築されているのか?基本、土台となる部分をまずしっかりと理解してもらうことが必要です。特に初任管理者のように初めて人事考課を行うという場合にはこの「基礎知識」をしっかりと身に付けてもらう必要があります。

「応用能力」とは…

自社の人事考課制度に則った考課を行えるようになることです。そのためには事例を用いた演習が必須となります。この演習で使用する事例は自社の実務に基づいたものとすることが大切です。ビデオなどの市販されている標準事例と、考課表チェックの結果得られた実例などに基づいて作成された事例とでは考課者に対する説得力がまるで違います。また、“一般教養”を自社のしくみに合わせて変換するには「応用能力」が必要であり、標準事例に基づく研修ではこの肝心の「応用能力」が身に付きません。

なお、演習は個人別→グループ別の順に実施します。各個人が別々に演習に取り組んでただ答え合わせをするというだけでは「他の人がどう考えているのか?」がわかりません。考課者間の評価尺度の統一を図ることも考課者研修の目的の一つです。そのためにはグループに分かれての集団討論の場を設けることも大切となります。なお、このグループは普段あまり接触がない方同士を同じグループにするようにしてください。そのほうが評価尺度の統一を図るうえでより有効となる場合が多いためです。

考課者研修の目的と効果の測定について

考課者研修の目的とは…

自社の人事考課制度に則った正しい、公平な考課を行えるようになることを目指すのは当然のことですが、それだけではないと考えます。

むしろより重要なのは

自社における人材育成の基準を知り、日常業務を通じた教育、指導を行うように導くこと

であると考えます。

ぐうの音も出ない正しい考課、評価を行ったとしても、日常業務の中での指導がなければ部下は納得しませんし、また人材も育ちません。考課者研修の目的もこの人材育成にあることを忘れてはならないと考えます。

考課者研修の効果の測定について…

考課者研修で示す内容はすべて会社としての方針、ルールとなります。その方針、ルールの実行、徹底度を把握することが考課者研修の効果の測定です。これは考課表チェックを通じて行うことが必須です。それ以外に有効な方法はありません。また、考課表チェックの結果得られた問題点や課題は次の考課者研修の演習用事例などに必ず反映させていってください。これによって人事制度を会社の経営に役立てることができるようになるのです。

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