新しい人事制度を導入しようとする場合、労働組合(特に過半数組合)があれば組合と交渉を進めていくことになります。
労働組合がない場合には社員説明会を通じて社員の理解と納得を得て、就業規則の改定、届出などの所定の手続きを進めていくこととなります。
今回は主として後者の社員説明会の進め方について取り上げてみたいと思います。
人事制度の改定とは、会社と社員との間の契約条件を変更することです。従って、社員説明会へ臨む姿勢としてまず持つ必要があるのは社員(多数派)の理解と納得を得るように努めることです。
よく見られる誤りとして「決まったことをただ伝達するだけ」という姿勢があります。これについては労働契約法の条文などを持ち出すまでもなく、人事制度を改定する目的を台無しにしてしまうものといえます。
人事制度を改定する場合、必ずその目的があります。その目的を社員がよく理解し、腹落ちしたときには求心力が高まりますが、その逆の心情を持ってしまった場合には遠心力が働くことになります。
人事制度の改定をめぐるトラブルや損失は上記をよく理解していないことから起こるものであるということができます。
より効率的に社員の理解と納得を得るための工夫というものもあります。
一例としては、「説明」と「交渉、話し合い」の機会を分ける、ということを挙げることができます。
新しい人事制度の内容を社員にまずよく理解してもらってからのほうが実のある交渉、話し合いができ、また無用の混乱を避けることができます。
より根本的には、新人事制度構築の段階から「社員にどう説明するか?」「多数派の理解、納得を得られるか?」を考えながら作業を進める、ということが挙げられます。
これは新人事制度の導入をスムーズにするだけでなく、導入した人事制度によって求心力を高めるためにも極めて重要なプロセスであるということができます。