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第68回  2016年1月号

〜自社の規範となる人事制度を〜

昇給や賞与はインセンティブにすぎない

「人事制度とは昇給や賞与を決めるためのルール」というのが一般の人の理解でしょう。しかし、昇給や賞与といったものはインセンティブ(動機づけ)にすぎず、人事制度の目的ではありません。なぜ昇給させたり、賞与を支給するのか?その理由こそ人事制度の本当の目的です。

目的は理念の実践

なぜ昇給させたり、賞与を支給するのか?それは会社が目指すことを実現してほしいからです。会社が目指すこととは、自社の存在意義(何のために存在するのか)を実践することであり、これは経営理念の実践に他なりません。単なる数値目標や内部的・内向きな行動様式ばかり人事考課で社員に求めても、やりがい、精神的な満足感、共感、愛社精神、仕事に対する誇りといったものは生まれないでしょう。会社は顧客の支持がなければ存続できません。従って、人事考課で社員に求めるべきものはこの「顧客の支持を継続して獲得すること」です。この顧客とのかかわり方を突き詰めて社員に明示したものこそ人事考課の基準でなければなりません。その行動を社員が実践したとき、社員にはやりがい、精神的な満足感、共感、愛社精神、仕事に対する誇りが生まれ、会社には更なる価値を生み出し、顧客の支持を獲得するという結果がもたらされるのです。昇給や賞与はこの「更なる価値を生み出し、顧客の支持を獲得」したことに対する報酬ですから、世間水準よりもやや高めに設定してもよいということになります。

まとめ

会社は顧客の支持がなければ存続できません。従って、人事考課で社員に求めるべきものはこの「顧客の支持を継続して獲得すること」です。この顧客とのかかわり方を突き詰めて社員に明示したものこそ人事考課の基準でなければなりません。

このような理念を体系化した人事制度こそ自社の規範となるものであり、その実践、習慣化により優れた企業文化が形成され、この企業文化こそ容易に他が真似ることができない“自社の力の源泉”となるのです。
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