事例解説

ホーム > 事例解説 > 第12回 2011年5月号

第12回  2011年5月号

〜社員教育の進め方について考える〜

はじめに

社員教育は経営活動の一環として行われるものです。従って、

Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(再挑戦)

のサイクルが求められます。しかし、社員教育をこのPDCAに則って体系的に進めている会社はあまり多くはないのではないでしょうか?
そこで今回は、社員教育を効果的に進めるための必須条件であるこのPDCAについて考えます。
よろしくお願いします。

“目標をどこに置くか”が大切

まず「Plan(計画)」について考えます。
Planとは、

・目標を明確に定め、
・その実現手段を計画すること

です。社員教育において最も大切なのはこのうち「目標を明確に定めること」です。「新卒者採用を新たに始めたので、その受入体制としての新入社員教育を最優先に考えたい」という会社と、「会社の次世代を担う取締役候補者の選抜と育成が急務」という会社とを比較して考えればこのことは明らかです。

はじめにで述べた「社員教育をPDCAに則って体系的に進めていない会社」とは、次のようなケースが当てはまります。

1.
自社における社員教育上の優先課題がそもそも明確に絞り込まれていない。
2.
自社における社員教育上の優先課題と実際の教育内容とが一致していない。
3.
階層別にオーソドックスな内容の研修体系は整備、実行されているが、自社における社員教育上の優先課題に応じたメリハリがついていない。
4.
社員の学習意欲に応えることに重心が置かれていて、会社主導の教育が手薄になっている。
5.
各現場での従来どおりのOJT(実務を通じた教育)がほぼ全てであり、体系的な教育制度がない。

これらのケースでは経営活動の一環としての社員教育が行われているとは言えません。共通するのは「Plan(計画)がない」ということです。

Do(実行)段階の注意点は何か?

Plan(計画)がいくらしっかりとしていても、忘れてはならないのは

“成長するかどうかは一人ひとりの社員本人自身の意欲による”

ということです。社員本人自身が「成長したい」「もっと腕を上げたい」と本気で努力する必要があるということです。そのためには社員の心に訴えかけること、すなわち会社理念への真の共鳴→共感→実行へと導くことが必要であり、単なる知識や技術の伝授だけではこのことは実現できません。

理念を繰り返し・繰り返し伝道する地道な活動
トップをはじめとする経営層の理念に照らしてブレない行動
人事考課(評価)基準を通じた理念の浸透

などと、“目標を明確にした教育の実行”の両方が必要です。

以上の「Plan(計画)」と「Do(実行)」がしっかりしていれば、「Check(評価)」「Action(再挑戦)」は容易に行うことが可能となります。

まとめ

社員教育も経営活動の一環として行われる以上、目標を明確にすることが大切です。またその目標の実現には知識や技術の伝授だけでなく、社員一人ひとりの心に訴えかけることにも本気で取り組む必要があります。

次回は以上を前提として、「Plan(計画)」の部分の実務手順を詳しく解説します。
ご期待ください。

テーマ別索引
ページの先頭に戻る

企業文化研究所 〒162-0822 東京都新宿区下宮比町2-28 飯田橋ハイタウン206号室 TEL.03-6265-0805