「仕事に応じた給与を支払いたい」というのは現在では経営者共通の認識といってもよいでしょう。しかしながら、15年ほど前までは「年齢給」や「生活保証」といった要素があたりまえのこととして重視されていました。むしろそれが「正しいこと」として行われていたのです。
従って、「仕事に応じた給与」に急に切り換えようとしても、社員に大きな痛みを強いることとなり、結果として会社との間の信頼関係も損なわれてしまうこととなります。
そこで今回は、“この相反する2つの要求を満たす解”をケース・スタディーを通じて考えてみたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
まず最初に、人事処遇の基準のあり方から考えます。
今回のケースの最大のポイントは次の点にあると考えます。
下記に詳細を示します。
とする。
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次に、人事考課(評価)基準のあり方について考えます。
今回のケースでは「仕事の価値」の測定方法が人事考課(評価)の中心課題となります。
この課題はさらに次の2つに分解することができます。
前者については業種や各社の理念によってその内容は大きく異なります。しかし、「仕事の価値」とは“どのような人材を手厚く処遇するのか”ということと同義ですので、その作成プロセスや出てくる結果は「ケース・スタディー1」、「ケース・スタディー2」で述べてきたことと大きな違いはありません。
問題はむしろ後者の方にあります。
“あらかじめ”仕事の価値を測定する、というのは「ポストに値段をつける」ということと一緒です。この方法が適するのは次の2つの条件が満たされる場合でしょう。
前者の条件が満たされなければ、職務価値が低いと評価されたポストに就いた社員が大きな不満を持つことになります。
また、後者の条件が満たされなければ異動が事実上の"降格人事"につながったり、経営上の必要に応じて柔軟に適材適所の人材配置を行うことができなくなります。
以上の点から考えますと、仕事の価値は“実績が出てから”測定した方が妥当性が高い、といえるでしょう。
みなさんの会社においてはどちらの方が適切か、一度お考えになってみてください。
次回は“プレイング・マネージャーの評価のあり方”を「ケース・スタディー4」として考えてみたいと思います。よろしくお願いいたします。