もう30年位前のことになるでしょうか。職能資格制度と呼ばれる人事制度が全盛期だった頃のことです。
勤務態度の評定項目中の「責任性」がC評価(マイナス評価)の場合には、「協調性」がA評価(優れている評価)であったとしてもそれをワンランクダウンさせ、B評価(標準の評価)とする、というルールが存在していました。
現在からみるとこれらの評定項目そのものが古く、もっと職務、すなわち具体的な仕事に準拠したものとする必要があると考えます。
しかし、このルールの根底にある考え方は現在でも非常に重要であると考えます。
責任性とは自分の守備範囲をしっかりと責任を持ってやりきることができているかどうかを問う項目です。
一方、協調性とは自分の守備範囲をしっかりとやりきったうえで他の人の仕事をどれだけ手伝うことができたかを問う項目です。
従って、上述したルールの根底にある考え方とは、
ということです。
この考え方そのものは現在でも十分通用するものです。
「みんなで」という言葉を好む人は多いです。しかし、この言葉を都合よく解釈し、一人ひとりの守備範囲、責任をあいまいにするようなことは仕事の場ではあってはなりません。
たとえ新入社員であっても賃金という対価を得て仕事をしています。一人ひとりが自分の守備範囲、責任を自覚し、その遂行に全力を尽くすことが会社組織の最低条件です。
「自分のことしか考えなくなるのではないか?」という心配も杞憂です。一人でできることには限界があり、会社組織の場合にはほとんどチームで仕事をします。一人ひとりの守備範囲、責任をはっきりさせるとは、チーム内での役割分担をはっきりさせるということです。これなくして仕事は成り立ちません。
一人ひとりが自分の守備範囲、責任を自覚し、その遂行に全力を尽くし、結果を出す(プロフェッショナル)。そのうえで他のプロフェッショナルと協働してさらに高い価値を生み出していく組織のあり方こそ追求すべきであると考えます。