人事制度の構築実務に着手する場合、最初に決めなければならないのが「自社における期待する人材像」です。そこで今回はこの期待する人材像の定義の仕方について解説してみたいと思います。
職能資格制度と呼ばれる従来主流であった人事制度では、期待する人材像を「資格要件」「等級要件」と呼んでいました。
資格要件、等級要件は社員に期待する
を
定義したものでした。
例えば、新入社員が格付けられる「社員1級」という資格、等級要件として、
というようにです。
このように従来の資格要件、等級要件は抽象的であり、社員がそれを読んでも「どのような方向に向かって仕事をしたらよいのか?」がよくわからない、実用性に乏しいものでした。また、人事制度の構築実務を進めるうえでも次のステップの人事考課の具体的内容への展開にはつながらないものでした。
人事制度を社員が働くうえでの指針とするためには、「期待する人材像」を読んだだけで「どのような方向に向かって仕事をしたらよいのか?」がよくわかるようにすることが必要です。そのためには従来のように期待する人材像をヨコだけで定義するのではなく、タテでも定義することが必要です。
また、期待する人材像の定義にあたっては自社の理念、基本戦略、方針なども反映させることが必須です。
従来のように能力、管理範囲、成果の側面から定義するというよりも、
の側面から定義する必要があります。
このように定義してみた結果を再読してみて、まさに「期待する人材像」となっているか?重要事項の漏れはないか?どうかを確認します。自社でしか使えない、他社には流用できないものとなっていればおそらく大丈夫でしょう。以下具体的な考課の項目、内容構築の実務に進んでいくこととなります。