手当には役職手当のように一定の役職に就いたら必ず支給されるものと、扶養手当のように扶養家族のいる社員にのみ支給されるものがあります。
このとき、「月給総額」に含める手当の範囲を決めておく必要があります。
この範囲は、前月号で触れた賃金設計の目標点をどのような考え方で決めたのか?に基づいて判断することとなります。
例えば、「課長登用時の月給総額をいくらにする」という目標点を決めた場合には、課長の役職手当がある場合にはこの役職手当は「月給総額」に含める必要があります。一方、扶養手当は課長登用時の「月給総額」に含めるべきではありません。基本給+課長の役職手当+扶養手当によって目標点を達成したとしても、扶養家族のいない課長は目標点を達成することができないためです。
このように、手当については「月給総額」に含める範囲を目標点の考え方に基づいて決めておく必要があります。
<はじめに>で示した表にあるとおり、基本給の低いところから高いところへ向かって金額を決めていきます。
この縦軸は、基本給の金額を管理する区分を当てはめます。多くの会社では「資格」「等級」などと呼ばれますが、みなさんの会社それぞれの基本給の金額を管理する区分を当てはめればよいわけです。
次にその区分を、会社としてはそれぞれどれくらいの経験年数で上位の区分へと昇格していってもらいたいと考えているのか?を決めます。
これをモデル年数と呼びますが、一つの目安にすぎません。評価制度の内容にもよりますが、モデル年数より早く昇格させても問題ありませんし、何年たっても昇格基準をクリアしなければ昇格させないことも可能です。
モデル年数が決まったら、基本給の昇給額を決めていきます。
上の図に示したとおり、基本給の昇給は「定期昇給」と「昇格昇給」に区分することができます。
定期昇給とは、上位の区分へ昇格しなくても、1年に1回など定期的に行う基本給の昇給のことをいいます。
昇格昇給とは、上位の区分へ昇格した場合に限って行う基本給の昇給のことをいいます。
定期昇給のみとすることも、昇格昇給のみとすることも可能です。本年2月号の「基本給の決定基準の考え方」もご参考のうえ、決定するようにしてください。
なお、この段階での昇給額は、定期昇給、昇格昇給ともに、会社の期待どおりの評価の結果であった場合のものとします。会社の期待を上回る評価や下回る評価の場合の昇給額は後で設定します。
基本給の金額が決まったら、これに手当の金額を加えて「月給総額」を算出し、目標水準を達成するように(過不足が生じないように)、基本給、手当それぞれの金額を調整します。
完成した表のことを「モデル賃金表」と呼びます。