賃金設計とは、基本給と手当を合計した月給総額の低いところから高いところへ向かって基本給、手当それぞれの金額を決めていくことです。
従って、賃金設計を始めるにあたっては月給総額の低いところ、高いところのそれぞれについて目標水準を決める必要があります。
今回はこの目標水準の決め方について取り上げます。
自社の賃金水準をどの程度に設定するのか?については参考とするデータが必要です。賃金水準や生活に必要な費用については相場がありますので、その相場に照らしてどうするのかを決める必要があるためです。
具体的に「○○社の賃金水準を知る」ということはほとんどの場合できませんので、多くの場合公開されているデータに頼ることとなります。
このとき、どのデータを選択するのかを決める必要があります。
どの調査データにも「調査要領」というものが掲載されていますので、まずこの部分を見ます。調査対象となっている企業が自社の応募者層(あるいは応募者層としたい層)とどの程度重なっているのか?規模や地域、株式の上場、未上場の区分などから確認します。調査の回収率が低いものや調査対象に偏りがあるものはやむを得ない場合や特別な理由がない限りは選択しないほうがよいでしょう。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査や東京都産業労働局の中小企業の賃金事情などは調査内容が豊富であり、自社に合ったデータを見つけやすいといえます。
参考とするデータが決まったら、次に賃金設計の目標点を決めます。
目標点とは、例えば「大卒初任給をいくらにする」とか、「課長登用時の月給総額をいくらにする」というように、賃金設計にあたって達成すべき月給総額のことを指します。
どの時点の月給総額を目標点とするのか、またいくつ目標点を設定するのか、がその会社における賃金水準設定の基本的な考え方を表すものとなります。
賃金原資をどの層に重点的に配分するのか、どの層に対してどの程度の賃金水準を最低限約束するのか、といった視点から目標点を考えるようにするのがよいでしょう。