他人に自分の人生を左右されてうれしいと感じる人はあまりいないでしょう。人事制度や人事考課(評価)制度と聞いてなんとなく拒否感を感じるのはこの点を意識してのことではないかと思います。拒否感があること、抵抗を感じることに心からの納得や理解を得ることはできません。
考課(評価)者研修には「公平な評価能力を身につけてもらうこと」という目的があります。しかし、この点だけを強調して教育を行っても上記の拒否感、抵抗感を感じる人もいることでしょう。また、学校の入学試験のような公平性を人事考課(評価)に求めることにはそもそも無理があります。
そこで今回は考課(評価)者研修を“どのような場として位置づけ”、“カリキュラム設定を行うことが適切なのか”、について考えてみたいと思います。
よろしくお願いします。
考課(評価)者研修の最も重要な目的は「会社の経営理念 = 基本的な価値観を共有すること」です。企業規模の拡大に比例して管理者数も増大します。また、新卒で入社した人、中途採用で入社した人、主に経験してきた業務(いわゆる〇〇畑)なども多様となってきますので、仕事をしていくうえでの基本的な価値観はなかなか共有できるものではありません。考課(評価)者研修はこれらの多様な背景や考え方を持った人たちが一同に会して、具体的な題材に基づいてお互いの意見を交換できるまたとない機会となります。また、基本的な価値観が共有されていれば評価のバラツキなども最小化できます。
「基本的な価値観まで押しつけられるのは嫌だ」といった声も考えられますが、基本的な価値観が違う会社で仕事を続けていくことの方が会社・社員の双方にとって不幸なことではないでしょうか。実際に、しっかりとした経営理念を持ち、本気でその実現を追求している会社ではこのような声はほとんど聞かれません。このような声が聞かれるということは理念が管理者のレベルにすら浸透していないということの証であり、さらにその原因を掘り下げていけば経営活動のどこかに理念と矛盾するところがある = 嘘がある、ということになるでしょう。
それでは次に、考課(評価)者研修の具体的なカリキュラム設定や、実施方法などについて考えます。
初回は次のようなカリキュラム設定とすることが適切でしょう。
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休憩 | |
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2回目以降は初回の研修内容をふまえて、
などを把握したうえで、その問題点を都度是正する内容とすることが適切です。
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なお、大切なのは“継続すること”です。現場の実務や状況は日々変化していますので、何年間も放置しておくと各管理者の意識や行動も当初の意図とは徐々に乖離していくものです。一方で現場から出される前向きな意見や提案はどんどん採り入れていくことも大切です。これらのことを可能とする“場”は意外と少ないものです。考課(評価)者研修を“理念の鮮度を保つための場”として活用することが必要です。
20年、30年前から「考課の目的は社員の育成にある」「給与(報酬、賃金)に差をつけることがねらいではない」ということは言われてきました。しかし、そのことをいくら強調しても管理者を含めた社員側の理解と納得は得られていないのではないでしょうか?そこには経済情勢に基づく安易な成果主義人事の導入などの影響もあったものと考えられます。この状態を放置したままでは理念の浸透など期待できません。
考課(評価)者研修を“理念=基本的な価値観を共有する場”“理念の鮮度を保つための場”として活用することがこの社員の心の奥底にある不信感を払拭することにつながっていきます。
次回も社員教育の実例を取り上げます。ご質問、お問い合わせ、歓迎です。
引き続きよろしくお願いします。