先日、ある会社の人事考課者研修会で次のような質問を受けました。 質問者は小売店舗の店長です。
私(当研究所代表、鈴木 茂)は次のとおり回答しました。
社員一人ひとりの能力を、会社が求める水準まで伸ばすためには絶対考課による教育が必要であると考えます。上記質問の例では会社として「当社としてはお客様に対してここまでのサービス品質を求める」という定義が明確に決まっています。その品質のサービスが提供できてこその「その会社の店舗」なのです。がんばったから、ゼロからよく伸ばしたから、という理由で合格の評価を出していては、いずれその会社の「目指す店舗」は1つもなくなってしまいます。絶対考課にすると昇給や賞与の原資に制限がかけられなくなると心配される方もいらっしゃいますが、昇給や賞与の総原資さえしっかりと管理しておけば問題が生じることはありません。同じ評価であっても、年度によって昇給額や賞与額が異なることが発生しうる、というだけです。
むしろ
質問で取り上げた会社の場合もそうですが、今後はこれまでは自社に迎え入れてこなかった人達も、適性・資質のある人は積極的に取り込んで育成していくことがますます必要となってきます。“多様な人材”というと抽象的ですが、これまでよりも育成や労務管理に手間のかかる人達も当然含まれていると考えなければなりません。それに合わせた人事制度構築も当然必要となってきます。例えば、経験者のみを採用して短期間で戦力化できることを当然の前提としている人事制度だけでは今後は人材力で遅れを取ってしまうことでしょう。