国が掲げる働き方改革のテーマのうち、各企業において早急な対策が求められるのは「同一労働同一賃金」と「長時間労働の是正」の2つであると考えられます。
そこで今回はこの2つの施策の推進によって各企業では“何が求められるようになるのか?”について考えてみたいと思います。
同一労働同一賃金が目指すものは「どの働き方を選択しても納得できる処遇が得られるようにすること」です。
― 「同一労働同一賃金ガイドライン案」の1.前文(目的)6段落目参照。
働き方の選択による処遇ルールを定めるのは人事制度です。従って、人事制度の整備があたりまえの前提となりますが、従業員の納得を得るにはさらにその内容を説明することが前提となります。このように今後求められる人事制度整備の水準とは、従業員に対して原則“公開できる”というものとなります。
長時間労働の発生要因は各企業ごとに違うため、「これをやれば必ず改善できる」という万能薬はありません。従って、現在国が進めている、法律で厳格な上限を定めて各企業に自社に合った改善を促すという方法は最も効果的であると考えます。
ただし、このことによって
例えば、時間外や休日勤務のある部分について、“自己啓発”であるから労働時間ではない、といった逃げ方は最早通用しません。
― 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の4労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置(3)エ参照。
そこで具体的には、
といった対策も必要となります。特に後者については“面倒”という理由で検討、導入を先送りしてきた会社、法の定める要件や手続きを満たしていない会社においては本腰を入れて再検討する必要があります。
注) 「同一労働同一賃金ガイドライン案」 および 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は厚生労働省のホームページからダウンロードすることができます。