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第31回  2012年12月号

〜人事制度企画のポイントについて考える〜

はじめに

前月号では人事制度が効果を上げるための出発点について解説を行いました。
「どのような組織、会社にしたいのか」を“自社独自の言葉で語ること”と“それを少なくとも役員および幹部社員の間で共有化すること”
というのが前月号での結論です。

今回は、上記をクリアーした会社が人事制度を企画するうえでのポイントについて考えてみたいと思います。

ねらいを明確にし、型にとらわれずに考える

「どのような組織、会社にしたいのか」が明確に定まったら、それを実現するために社員の行動を方向付ける基盤である人事制度の内容を企画することとなります。その際、最も重要な機能を担うのが人事考課(評価)の基準であることは前月号でも述べたとおりです。しかし実際に人事制度の内容を企画するにあたっては、自社の業務や組織の特質、人員配置の状況、処遇方針などの前提条件を十分に検討したうえで、
“人事制度そのものがねらいとするところ”をまず明確にすることが必要となります。
例えば、日常の実務そのものは半年から1年くらいの期間で習得できる会社(部門)と一人前になるまでに10年くらいの期間を要する会社(部門)とでは資格や等級といった人事処遇の基準の考え方は全く異なるものとなります。前者のような会社(部門)に対して役割や職務の違いを判断軸とする人事処遇の基準が当てはまらないことは明らかです。このような場合にはむしろ「一度身に付けた仕事をどれくらいの安定感を持って継続できるか」を判断軸とする人事処遇の基準の方が合致します(詳細は2010年7月号をご覧ください)。また、職務給(仕事やポストに応じて決まる給与)を導入したいが、現在の月給の水準を急激に低下させるようなことは避けたい、という場合に、職務等級1本の人事処遇の基準では対応することはできません。このような場合には人事処遇の基準を2本立てることが必要です(詳細は2010年9月号をご覧ください)。さらに人事考課(評価)制度の考え方についても、プレイング・マネージャーの考課(評価)についてプレイヤー部分とマネージャー部分とを明確に分離した方が適切なケース(詳細は2010年10月号をご覧ください)や、目標管理制度がなじまず他の手法を用いた方が妥当なケース(詳細は2010年12月号をご覧ください)など、既成概念や型にとらわれていては自社に最適な人事制度とはならない場合があります。
“人事制度そのものがねらいとするところ”とは、自社に最適な人事制度とするための“工夫”のことです。
そしてこの“工夫”は既成概念や型を一旦すべて取り去って、自社の業務や組織の特質、人員配置の状況、処遇方針などの前提条件から“素直に”“ストレートに”導き出すことが必要です。このステップを踏むことなくして企画された人事制度は、運用の局面で障害が顕在化したり、実際には導入できなかった、ということに陥ってしまうのです。

まとめ

人事制度を企画するうえでのポイントは“ねらいを明確にし、型にとらわれずに考える”ということです。
自社に最適な人事制度とするためには、“既成概念”や“型”を一旦すべて取り去って、自社に合った“工夫”を“素直に”“ストレートに”導き出すことが必要です。
みなさんの会社でも是非一度検討してみてください。

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