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第54回  2014年11月号

〜人事制度の適否を決めるポイント〜

はじめに

「自社に合った人事制度を構築したい」という考えはほぼすべての会社が持っているといってよいでしょう。ところが、肝心の人事制度の適否を左右するポイントが何なのか?についてはよくわかっていない会社も多いというのが実感です。人事制度の適否を決めるポイントを的確にとらえたうえで構築の方針を立てなければ、自社に合った人事制度を作り上げることは不可能です。

そこで今回は人事制度の適否を決めるポイントについて考えてみたいと思います。

ポイントは「目的の明確化」と「基本的価値の反映」の2つに集約される

人事制度の適否を決めるポイントは「目的の明確化」と「基本的価値の反映」の2つに集約されると言ってもよいでしょう。

「目的の明確化」とは“仕事と給与をバランスさせたい”とか“プレイング・マネージャーの評価の仕方を一工夫したい”など、その時点における自社の人事上の課題を的確にとらえることを指します。

制度は課題を解決するための道具です。自社の人事上の課題解決につながらない人事制度は意味がありません。従って、自社に合った人事制度を作り上げるためには、まず構築の方針の中に「何を解決、目指すのか?」という目的が明記されている必要があります。そのうえでその解決策を人事制度の中に盛り込んでいくこととなります。先に上げた“仕事と給与をバランスさせたい”“プレイング・マネージャーの評価の仕方を一工夫したい”という目的の解決策の具体例はそれぞれ2010年9月号2010年10月号に解説しています。

なお、「目的の明確化」は“その時点における”自社の人事上の課題を的確にとらえることに過ぎません。従って、次の「基本的価値の反映」に比べると短期的視点に基づくものです。目的が達成されれば次の課題=目的に応じて人事制度を変えていくこととなります。

「基本的価値の反映」とは自社の経営理念の具体化、すなわち仕事をしていくうえでどのような考え方や行動をとることが正しいのかを人事評価の基準とすることを指します。

人事制度は給与や昇格・昇進などの処遇を決めるためだけのものではありません。社員が働くうえでの指針を示すことにより、自社の経営理念の実践→独自性の発揮→会社の永続を図るための土台でもあります。従って、この「基本的価値の反映」されていない人事制度はきびしく排斥されなければなりません。この点について詳しくは2011年1月号2014年4月号に解説しています。

この「基本的価値の反映」は先の「目的の明確化」とは異なり、技術的な表現の仕方は変わっても、その内容自体は同じ会社である限り本来不変のものであると言えます。

まとめ

人事制度の適否を決めるポイントは「目的の明確化」と「基本的価値の反映」の2つです。

「目的の明確化」とは、その時点における自社の人事上の課題を的確にとらえることを指します。自社に合った人事制度を作り上げるためには、まず構築の方針の中にこの目的が明記されている必要があります。そしてその目的が達成されれば次の目的に応じて人事制度を変えていくこととなります。

「基本的価値の反映」とは、仕事をしていくうえでどのような考え方や行動をとることが正しいのかを人事評価の基準とすることを指します。人事制度は社員が働くうえでの指針を示すことにより、自社の経営理念の実践→独自性の発揮→会社の永続を図るための土台です。「基本的価値の反映」されていない人事制度はきびしく排斥されなければなりません。そしてこの「基本的価値の反映」は技術的な表現の仕方は変わってもその内容自体は同じ会社である限り本来不変のものであると言えます。

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