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第116回 2020年1月号

〜社員が働くうえでの指針を示す〜

目指す会社を実現するために

経営者には「こういう会社にしたい」という思い、志があります。この思い、志は現場で働く社員一人ひとりがその内容をよく理解し、実行することで実現されていきます。

少人数で会社が運営されている間は経営者自身が具体的な指示を出しやすく、また社員一人ひとりにもその指示が伝わりやすい状況にあります。
ところが人数が増えてくると、現場の一人ひとりにまで経営者自身が指示を出すことはむずかしくなってきます。また組織が大きくなり、間に人が入ることでその指示が伝わりにくくもなります。

このような状況になったときに有効に機能する手法が、

社員が働くうえでの指針を人事評価の基準として定める

というものです。
社員が最も関心を持つのは自分自身の待遇であり、これによって他人(ひと)ごとを自分のこととすることができるからです。

手段が目的に変わっていく

このように目指す会社を実現することを目的に定めた人事評価の基準も、気をつけていないとその目的が果たせなくなってしまうことがあります。

それは次のとおりです。
人事評価の基準を社員一人ひとりがよく理解し、実行することを促す手段として、給与、賞与をはじめとする待遇に評価の結果を反映させることになります。
するといつの間にかこの手段が人事評価を行う第一の目的となってしまい、人事評価の基準の内容を進んで社員に周知徹底することにためらいを感じるようになってしまうことがあるのです。

「なぜ自分はこのような評価になったのか?」という社員からの質問にどう答えたらよいのかわからない
結果として社員に優劣をつけることになるので、その判断基準は社員には公開しないほうがよいのではないか

など理由は様々に存在します。

公開するだけでなく、周知、活用を

しかし、評価の基準を公開しなくても社員から自分の評価についての質問が出てくることはあります。むしろ評価の基準を公開していないほうが社員の疑問はより強いものになるでしょう。
また、社員が働くうえでの指針を示さなければ、経営者の思い、志、目指す会社の実現は困難なものとなります。

社員が働くうえでの指針=人事評価の基準は社員に公開するだけでなく、さらに踏み込んで周知徹底、積極的に活用するべきです。
上司が部下への日常指導を行う際のよりどころとする、研修会でもその内容について積極的に取り上げる、などです。

人事評価の基準とは、給与や賞与を決定するためだけのものではありません。
経営者の「こういう会社にしたい」という思い、志を実現するために、社員が働くうえでの指針を示すものなのです。

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