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第104回  2019年1月号

〜導入は始まり〜

行動規範とは

中小・中堅企業、特に自社独自の技術やサービスを活かした事業を行っている企業では、明確な経営理念、基本戦略、経営方針が存在します。

経営理念を実践し、また基本戦略、経営方針を実行するためには、社員に対して「当社では日々の仕事をしていくうえで、どのような考え方や行動をとることが正しいのか、また正しくないのか」を明確にすることが必要です。
行動規範とはこの明確化された規範のことを指します。

行動規範定着化のための要件 1:人事考課基準との連動

社員数が100人程度までの企業や、経営陣が社員一人ひとりの仕事ぶり、成果を直接把握できるような業種では、精緻な人事考課基準は必要でない場合もあります。
しかし、社員数が多くなればなるほど、行動規範と人事考課基準を連動させる必要性は高まります。
行動規範とは全く異なる観点から人事考課が行われていれば、社員の行動は会社が本来求めるものとは全く異なる方向を向いてしまうからです。
多くの社員は「どうしたら会社から評価されるのか?」を判断基準に行動します。 評価とは離れていくら「当社の経営理念、基本戦略、経営方針はこうだ」と呼びかけても、多くの社員は応えることはないでしょう。

行動規範定着化のための要件 2:人事考課基準の公開と活用

行動規範と連動させた人事考課基準は公開してはじめて社員はその内容を知ることができます。
社員は全員この人事考課基準をよりどころとして自分自身の実力を高め、自分で自分を育成していく「自育」を行うことが求められます。 自分の現在の実力を正しく見定めて、より高いレベルへと自分自身を高めていく取り組みです。
上司を含め他人からいくら言われても自分自身の気づき、内発的な意欲がなければ真剣な取り組みは期待できません。
このような状況を作り出すためには、幹部人材が率先して手本を示すことが求められます。経営トップとしてはまず幹部人材が自社の行動規範を正しく実践しているかどうかを見極め、必要な場合には幹部人材の教育からまず取り組むべきです。

行動規範定着化のための要件 3:形骸化、風化防止のためのチェック機能

行動規範の定着とは企業文化の形成そのものであり、終わりはありません。また、これまで述べてきた人事考課の制度化、運用もチェック機能がなければやがて形骸化、風化していきます。
経営トップからの委任を受けた役員および人事部門を中心とした人事考課表のチェックはこの形骸化、風化防止のためには欠くことのできないチェック機能の一つです。
正しく行われていない人事考課表は差し戻すなどの是正措置をとることが必要です。反対に人事考課のあり方に対する前向きな意見や提案は積極的に取り入れて、社員の「自育」をさらに促す環境、場づくりにつなげていくことも大切な取り組みといえます。

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