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第80回  2017年1月号

〜“全員正社員時代”の意識を改めることが出発点〜

“全員正社員時代”とは

本稿で“全員正社員時代”とは次のとおり定義することとします。

●従業員の雇用は期間の定めのないものが中心(いわゆる正社員、終身雇用制)。 ●従業員の多くはそれぞれの家計の柱であり、家事や育児などの負担は配偶者(主として妻、専業主婦)が担っている。 ●従って、従業員は仕事の範囲や労働時間について会社からの指示に柔軟に対応する(できる)ことが前提となっている。 ●パートなどのいわゆる非正規雇用は臨時的・補助的な仕事を担う者に限定されており、かつそれぞれの家計の柱ではない。

90年代半ばまでは多くの会社において上記“全員正社員時代”であったといえると思います。

“全員正社員時代”の労務管理上の意識の特徴

“全員正社員時代”の労務管理上の意識の特徴としては次のような点が挙げられます。

●長時間の拘束は会社・従業員双方織り込みずみ。 ●労務管理上の疑義が生じた場合に細かな規則や条件などを明記していなくても、会社・従業員双方の話し合い・譲り合いによって円満な解決ができることを前提にしている。 ●正社員といわゆるパートなどの非正規雇用者とでは待遇に差があって当然。

2017年となった現在、“時代”は客観的事実として変わっているものの、上記“意識”は色濃く残っている、という会社がまだまだ多いのではないでしょうか?

自社において「働き方改革」を進める場合、この“意識”を改めることが必要

抽象的にではなく、具体的に自社において次の点を客観的に事実として把握することが“意識”を改める出発点となります。

●自社の従業員のうち、共働きでない、家事や育児などを負担してもらえる専業主婦がいる人はどれくらいいるのか?→長時間の拘束を織り込みずみにできますか? ●自社の非正規雇用者のうち、家計の柱となっている人(単身者を含む)はどれくらいいるのか? ●自社の部門・部署の中で、非正規雇用者の存在なくして運営不可能なものがどれくらいあるか?→労務管理上の疑義を話し合い・譲り合いによって円満に解決できまか?→正社員と非正規雇用者との待遇差を合理的に説明できますか?

“意識”を改めなければトラブルは必ず起こります。
国が掲げる「働き方改革」について、法律やガイドラインで決まったことだからいやいややるのではなく、

自社における客観的事実を把握し、“意識”を改めて、従業員一人ひとりの能力を最大限引き出すにはどうすべきかを考えること

が今まさに求められているということができるでしょう。

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