人事考課(評価)制度は、社員一人ひとりの評価の結果を所定の様式に記録することによって機能します。
この所定の様式のことを人事考課表、評価表などと呼びます。
人事考課表として機能するための最低条件は評価の項目ごとに評定(A、B、C、Dなど)を決定、記録し、総合評価の結果を出すことです。
人事考課表としての基本機能は上記のとおりですが、さらに工夫を加えることによって人事考課制度がより有効に機能する場合があります。
上司による一方的な評価だけでなく、本人による自己評価を導入している会社も多いことと思います。
このとき、評価の項目ごとに自己評価の評定(A、B、C、Dなど)を求めるだけでなく、その根拠となる実績を申告させることが有効な場合もあります。
成長の起点となるのは自分自身の現在の実力を正しく知ることです。 高い待遇を受けたいために過大な自己評価を行うことは自分自身の成長の余力=伸びしろに目を向けないことにつながります。
自己評価にあたって実績の申告を合わせて求めることは自分自身の現在の実力を正しく認識することを促すことにつながります。
評価基準で定められた合格点に達していないということは、本人に何らかの課題が残されているということです。
この課題は個々人によって異なるものであり、上司(評価者)がコメントを通じて助言、指導していくことが本来の姿です。
しかし、このコメントは上司による能力差が出やすいところでもあります。どうすれば部下の能力向上につながるのか、課題を正しくつかんで具体的な仕事として指導できる上司もいれば、問題点の指摘だけにとどまる上司もいます。
このとき、評価の項目ごとに不十分な理由、改善につなげるためのポイントがあらかじめいくつか列記されていれば、部下、上司ともに日常業務を遂行していくうえで有益なよりどころになるものと考えられます。
手間はかかりますが、人事考課制度の運用に費やされる時間と労力を考えてみれば、工夫を加えておく価値は十分あると考えられます。
目標管理制度が形骸化していく過程の一つに、「目標を立てて終わり」「結果として毎年同じような目標が繰り返し申告されてくる」というものがあります。
究極の目標というものは頻繁に変わるものではありませんので、ある意味自然なこととも言えます。
しかしこれを繰り返していれば何がどこまで進んでいるのか、続けるのか、あきらめるのか、判断、決断することができません。
このような場合、
とすることで、上記の判断、決断がしやすくなります。
また、目指す会社を実現するために自ら考えて行動する人材の育成にもつなげることができます。
人事考課制度を社員の待遇決定のためだけに活用するのではなく、人材の育成や目指す会社の実現につなげるために、人事考課表の設計を工夫することは有効な手段となります。是非自社の課題に合った工夫を加えてみてください。