退職金制度
定義
・社員が退職した際に支給される一時金(なお、企業年金との関係については後述)を決定するしくみ。
・退職金の性格については賃金後払い説、功労報奨説などがあるが、どの説を採っても実務上はあまり問題とはならない。
バリエーション
・従来は退職時の基本給与(月例)に勤続年数に応じた支給倍率を乗じて決定するしくみが一般的であった。しかしこの方式は月例給与の上昇がそのまま退職金額にもハネ返るという問題があり、1990年代にはすでに修正が加えられていた。その代表例として第二基本給方式(退職金の算定基礎とする月例給与を抑制する考え方)やポイント方式(月例給与と退職金との関係を遮断する考え方)などを上げることができる。
・さらに2000年前後からは退職金を月例給与や賞与に上乗せして前払いしたり、退職金制度そのものを廃止する企業も現れはじめた。
・確かに、従来の長期勤続になればなるほど退職金額が加速度的に上昇していくしくみのもとでは、かえって中高年社員のチャレンジ精神を損なうおそれもある。
・しかし退職金には老後の公的年金を補うものとして社員が安心感を持って働くことができる、というメリットがあることも事実である。
企業年金との関係
・退職金とは本来社員が退職した際に支給される一時金のことを指すが、この一時金を原資として企業年金(公的年金とは別個の私的年金)制度を設けている企業も数多く存在する。
・代表的な企業年金制度としては、確定給付型企業年金(給付の水準を保証するもの)、確定拠出型企業年金(給付の水準は保証せず、企業年金の原資に当てる拠出額のみ約束するもの)などがある。なお、従来多くの企業が採用していた税制適格年金は2012年3月末までに廃止されることとなっている。
・どの企業年金制度を採用するのか、また退職金の何割程度を企業年金の原資とするのか、といった点については、信託銀行や生命保険会社に試算を委託して判断することが適切である。
・ただしどのような企業年金制度を採用するにせよ、その前提として自社の処遇方針、人事制度全体との整合性がとれた退職金制度を構築することが必要となる。
特別表彰制度
定義
・呼称はインセンティブ、賞金など企業によって様々であるが、会社に対する顕著な貢献があった場合に、通常の昇給や賞与とは別個に、一時金支給などの還元を行うしくみ。
必要性
・従来は永年勤続表彰などが比較的ルール化されているほかは、就業規則の表彰の条項などで一般的・概括的な内容が規定されるにとどまるケースが多かった。
・従来も不動産業界などでは広く導入されていたが、近年は職務上の発明に対する権利意識の高まりへの対応や社員からの積極的な改善・提案を求めるなどの目的から、独自の制度を構築、導入する企業も増えている。
制度のあり方
・どのような貢献を特別表彰の対象とするのか=特別表彰の部門設定を行うことが制度のあり方を考えるうえでの出発点となる。
・次に、表彰部門ごとの評価の着眼点=どのような点に着目して特別表彰の対象とするかどうか、どの程度の評価を与えるのか、を決める。
・最後に一時金支給などの表彰内容(金額設定を含む)を決定する、という手順が適切である。